いざ起業しても、成功するのはほんの一握りの人。
その一言に怯え、当時ただでさえ臆病な私は、なかなか気持ちの踏ん切りがつかず、取り返しのつかない時間を無駄にしてきました。
起業を決心したけれど、なかなかスタートを切れないといった心理は、起業を考えたことのある人でなければ分かりません。
起業を目指す人の心理は複雑です。
成功に喜ぶ家族の笑顔を思い描く一方で、以下のような心理も併せもっています。
それでは、どのような心理状態の時に事業をスタートできるのでしょうか。
それは、事業計画書が完成し、加えて、第三者の「これは面白い!これならいける!」との評価を得た時です。
そうすると、スタート前に抱いていた上記のような心理は、ドンドン解消されていきます。
さて、起業家を目指す方には、「勇気」という資質が必要であることは、今更いうまでもありません。
そして、この勇気は、事業計画書のデキ如何によって、萎えたり、膨らんだりするものです。
事業計画書は、事業を成功に導くうえで何よりも大切な心の支えとなるものです。
初めて起業を決意した当時の私は、一見スケジュール表と見まちがうような事業計画書を作成して悦に入ってました。
その後「事業計画書の作り方」を参考にするにつけ、己の未熟さを思い知り再チャレンジすることになるのですが、それでも形式を重んじるばかり、ありきたりで血の流れが感じられない事業計画書であったことを、今更ながら思い出します。
起業するうえで事業計画書は、今後の事業遂行における大切な羅針盤となるものであり、本来事業計画書が完成していなければ、スタートを切れません。
ただ、そうはいっても、いざ計画書作成の段になると、何かひと工夫足りないな、或いは自分のプランが世の中に受け入れられるだろうか、独りよがりとなっていないだろうか等々心配ごとが先に立ち、なかなか計画書の完成に至らないのが現実ではないでしょうか。
こんな時は、幹をしっかり、枝葉は後からついてくると覚悟を決めた方が良いと思います。
さて、事業計画書の面白いのは、作成するにつれて思わぬアイデアが、それも次々と浮かぶことにあります。
一方で思わぬ欠陥に気付くこともあります。
解決しておかなければならない問題点が、計画書を作成して初めて気が付くことはよくあります。
そして、ここに第三者の一言が加われば、計画が一気に化学反応を起こし、起業がグッと現実味を帯びてきます。
独りでは、なかなか気づかない問題点が修正され、計画書が更により良いものへと昇華していきます。
このように、事業計画の立案において、第三者の意見を参考にすることは、欠かすことのできない重要なステップであり、これを省略した事業計画はありえないといえます。
私は、これといった勝算のあるビジネスアイデアがあるわけでもないのに、とにかく独立するぞ!の一念で、3年前に今のコンサルタント会社を立ち上げました。
確かに「その前にまずは事業プランをしっかりまとめ上げてから独立すべきだ!」ともう一人の私が存在していました。
しかし、このいかにももっともらしいこの考え方で慎重姿勢を維持していたなら、今も独立は叶えていなかっただろうと強く思います。
言うまでもなく、いきなり完成されたビジネスアイデアなど浮かぶはずがありません。
確かに、ある日突然フッと沸いてくるアイデアもあるでしょう。
しかし、後になってみると大したことがないと思えることも案外多く、そのためたいていの場合、やがて忘れてしまいます。
このような経験はありませんか?
アイデアを思い付いた時は、すぐにメモし、後日あらためて揉んでみるべきです。揉んで揉んで徹底して揉んでみることです。
アイデアは、徹底して揉むと、必ず「これだ!」というものにたどり着きます。たどり着かないのは時間の掛け方が足らないのです。
アイデアが浮かび、これを事業計画書としてまとめる段になると、一つひとつ一点集中し、相当の時間を掛けることが重要です。
これは、単に時間の長短だけを言っているのではありません。
日を変え、時間を変え、場所を変え、その時々において集中し、紙面に挑んで欲しいと言いたいのです。
アイデアの質は、これを形にするのに要する時間と正比例の関係にあります。
従って、時間を掛ければ掛けるほど良いものに仕上がっていきます。
ただ、だからといって、いくらでも時間を掛ければよいというのでは永遠にアイデアはまとまりません。
この段階で、忘れていけないのは、何よりもまず、記念すべき「開業日」を誓うことです。
そして、その期間の中で集中し、事業計画書を創り上げていくのです。
どうあがいたってスタートを切れば越えなければならない障害は向こうからやってきます。
逆に、散々緻密に考え抜いたことが全く無駄だったということもあります。